企画:イムラアートギャラリー
発行日:2021/1/2
ISBN978-4-9911546-0-7
截金作家・江里佐代子さんの作品の写真集。截金(きりがね)とは極薄の金箔を0.1mm単位で細く切って、その極細極薄金箔のテープを糊を付けながら仏像などに貼っていき、金箔だけで文様を作っていくという超絶技巧。その超絶技で最年少の57歳で人間国宝となるも、62歳の若さで急逝。数々の名品を生み出し、京都迎賓館の内装にも使われている。江里さんは截金を仏教美術以外の工芸品にも広く応用し、その独特の世界観に多くの人が魅了された。本の表紙を飾る手毬型の小筥もそのひとつ。截金で描いた美しい幾何学文様は、着物にも取り入れられ、江里さんの実兄である染色家の樹田さんは、その意匠を使うことを許され、金彩や刺繍で文様を描き、礼装の格調高き着物や帯を生み出している。京濱も京濱好みの図案と色で作ったものをお客様に着ていただき喜んでいただいております。この本も、樹田さんから頂いたもの。小ぶりな本ですが、美しい作品が並ぶ1ページ1ページに見入ってしまいます。もっと大きな本にしてくれたらよかったのに、、。ところで、本来は樹田さんにのみ文様の使用が許されているのはずなのに、節操のない京都の他メーカーは堂々と江里さんの文様を使った着物や帯を作っている。中には、江里さんも悲しくなるような粗末な出来のものもあり、その度になんだかな〜と呟いてしまいます。
牧野日本植物図鑑
著者:牧野富太郎
発行日:2023/4/15(原本は1940/9/29)
ISBN978-4-9912993-1-5
NHK朝ドラ「らんまん」を見て存在を知った本です。着物の柄に植物のモチーフはめちゃくちゃ多いし、なんで、こんなに植物柄が多いのか?改めて不思議に思うのですが、着物の柄を納品書や、お預かり書に書くときになんの花なのか、なんの草木なのかわからない場合がちょくちょくあります。仕事を始めたときに言われたのは、わからんかったら「唐花」にしておけ。だったのですが、唐花とは大陸のお花で日本にないとか、想像上の植物だということなのですが、下絵職人さんというのは絵をすごく勉強されて写生もたくさんしてきた方で、そんな人たちが適当な花を描くだろうか?花と葉っぱがちぐはぐなものを描くだろうか?と思って、わからない花があったら、この本をペラペラめくって花や葉の特徴を照らしあわせて、花の名前を調べていくと、結構見つかるものです。ただ、何故この素材の着物にこの花を選んだんだろうというような事もしばしば。とくに古いもの、大量に着物が作られていた時代のものにはそんなのがあります。
京都で、きもの修行
著者:秋尾沙戸子
発行日:2024/1/28
ISBN978-4-418
アマゾンにおすすめされて、表紙だけ見て買った本。京都に住んで、着物道楽を楽しんでいる方の、一年間何を着たかというレポート。その日になぜその着物と帯を選んだのか、著者の言葉でいうと「纏った」のか、細かく場面とお気持ちを綴られておられます。そこかしこに、そこはかとなく散りばめられた蘊蓄には、へェーと関心したけれど、なんだかな〜。この本を書くための京都移住なのかな、本ありきの着物纏いなのかなと勘繰ってしまうわざとらしさと時々出でくる怪しい人物たちがちょっと気になりました。
この本の中で、裏千家のお家元が5月でも単衣で良いと(昨年)宣言されたと書かれていました。浜松のような地方まで、そして末端のお弟子さんたちまで津々浦々その宣言が行き渡っているのかな?と心配になりました。著者も書かれていたけど、6〜9月まで絽で良い宣言が欲しいというのは、半分共感します。そうなると、4月も10月も単衣にしてくれとなって、それはそれで良いのですが、袷を着ている人が逆に浮いたりして混乱しそうです。
有職文様図鑑
著者:八條忠基
発行日:2020/7/22
ISBN978-4-582-63522-5
平安時代のお公家さんたちの衣装や調度品に使われていた文様が有職文様。
現代の着物や帯にも多用され千年以上も愛されているというか、悪い言葉でいうと、飽きもせずに使われている文様。それだけ長くもっているのは、完成されたものというか、基本のキを抑えているからというか、やりつくされていて新しいものを考えても、既にあるものに似てしまうというところかなと思います。その文様たちは、日本オリジナルもあるけれどシルクロードを経てペルシャの方に原点があるものが日本風にアレンジされたものから多種多用ですが、多くは花や鳥など自然をモチーフにしており、よく見ると「藤」だわとか「蝶」だ。とわかるものがあってパズル解きのようで見飽きないし楽しい本です。
七緒初巻
2004/10/1
ISBN4-8334-7022-5
季刊誌七緒の初巻。古着着物やポリ着物などの中に混ざって高級品もちょいちょい散りばめられ、何基準かわからない部分もあり、京濱の好みに合わないものが多いけれど、なぜか全巻揃っている。初巻は20年前のもので登場人物が(今に比べて)若いのは当たり前だけれど、掲載されている品物は時代を感じないのは、古着だからじゃなく、地球にとって百年は一瞬というほどのレベルじゃないけど、着物にとって20年なんて、たいした年月じゃないということなのだ。七緒はイラストが好きです。ただ写真をならべただけの雑誌じゃなく、記事に抑揚があって楽しい。この巻でよかったのは下駄のイラストと「まうのきものはじめ」
女紋

著者:森本景一
発行日:2006/10/1
ISBNなし
京都の紋入れ職人による女紋の解説。浜松近辺で女紋というのはなじみがないけれど、女性の着物に紋をつける場合、丸をとると優しい感じになるから丸を取ったり、剣カタバミのような紋だったら剣をとっちゃうというアレンジをリクエストされるお客様はたまにいらっしゃたりして、これを女紋という感じで使われたりするけど、関西地方では女性に受け継がれていく紋として一般的。嫁ぐときもお母様の紋をいれていくので、一生嫁ぎ先の紋を入れることはないという風習。関東にはこの風習がないので、関東関西同士の結婚ではトラブルになるという女紋に関するお話がメイン。他にも紋にまつわるお話が載っていて面白いです。
染めと織りと祈り

著者:立松和平
発行日:2000/3/29
ISBN4-7572-0705
雑誌・美しいキモノ1993年夏号〜1998年春号に掲載された記事をまとめた本。
作家・立松和平が各地の織物染物職人を訪ねて職人たちの思いとその作品ができる工程などを紹介しています。令和6年からすると約30年前の記事ですが、今もご存命の方もいらっしゃるけれど、時の流れを感じます。亡くなられた方もおり、まだこの技術は残っているのだろうか?と思うものも、、。題名の中の「祈り」とは、良い色になってくれという祈り、綺麗に織り上がってという祈り、土地の信仰を柄に織り上げるという祈り、この技術を受け継いでくれという祈り。ひとつひとつの作品に込められた魂の祈りを感じて、その染め物、織物に触れると、出来上がるまでの様々な奇跡が重なった結晶なのだと解ります。ちなみに私は、立松さんの作品では「遠雷」が好きです。
