ディテールに宿る上質


着物をお選びいただくときには、遠くからも見て下さい。と申し上げます。近くでご覧になっているときと、数メートル離れた場所からご覧になったとき、見え方、印象、お顔映りが変わる事もございますし、離れてみる事でお召しいただいた時の着姿の、よそ様からの見え方を確認していただくこともできます。離れて見たときには着物の柄の細かなところまではよくわかりません。が、しかし、柄のなかの細かなところまで作り込みがされている着物というのは離れて見たときでも印象に深みと上質感を与えてくれます。友禅の糸目と呼ばれる白い細い線は柄の中の色が他の柄のほうへ染み出さないための防染の役割をする事もありますが、線そのもので柄を表現する場合もございます。その線は細いほうが職人レベルが高いのですが、線の太さの微妙なゆらぎや、線そのものの色が真っ白ではなく微かに生地の色が移り、ほんのりと白よごしになっていると、柄に馴染んでさらに上質感が増します。当然、近くでご覧になれば高い技術の職人芸に見飽きることなく眺めていられます。着物をお召しになられなくても、タンスから出して眺めるだけでも楽しめます。