袴拡大

今月は卒業式月でした。大学の卒業式では袴姿が定番になっているようで、京濱でも、お客様のご依頼で西へ東へ袴一式をご指定の美容室まで発送しました。女学生の袴は遡れば、明治時代が発祥のようです。今は少なくなったセーラー服のスカートのヒダヒダは袴のヒダヒダを継承したものなのだそうです。男性の第一礼装である袴を女子が着用したというのは、女性の地位向上の証でもあるとか、、、。

京都では、小学生も中学生も高校生でも男女問わず袴姿がいらっしゃると聞きますが、浜松でも、小学生の女生徒さんで袴着用の方が見受けられるようになりました。私の小学校時代は、小学校の卒業式なのに、申し合わせたように、中学生の学生服を着ていくという、今思うと摩訶不思議な慣習がありました。それを思えば彩豊かで良い事だと、思うわけであります。

袴姿の子がいるのが当たり前になりつつの昨今ですが、小学校によっては、袴禁止令が出ているとも聞きます。袴が着れない子もいるのだから差がつかないように華美なことはやめようとかいった理由ではないらしく、トイレに行く時、袴だとうまくできないので、先生がついていかなくてはならず、それが大変だから。らしいのですが、さだかではありません。

卒業式に仮装をするのが当たり前の大学があるように、みんな好きな格好でいくというのは、良いことなんじゃないかと思います。AKBのような格好をしたいという子もいて、着物を着たいという子もいて、彩豊かというのは良い事だと思います。卒業という節目を、どんな格好であろうと、しっかりとケジメをつけるという卒業式はとても大切な行事です。袴は今後も拡大していく気はします。

ミカンアカン

呉服まわり禁制アイテムその2です。むかし、駆け出しのころ、呉服屋組合の集まりで合同展示会があったとき、展示会場の控え室でのできごとです。誰かが差し入れしたミカンがテーブルの上に置いてありました。古参の呉服屋Aさんが、食べろ食べろと勧めてきます。すると、近くにいた、クリントイーストウッド似のこれまた古参の呉服屋Bさんは、いぶし銀の声で、「こんな所でミカンを食っちゃいかんぜぇ〜」と呟きました駆け出しの私には、そのセリフがとても印象に残っています。AさんとBさんが犬猿の仲であったわけでもなく、BさんがAさんに喧嘩を売ったわけでもないく、単純にBさんは正義感から言ったのでありますが、その理由は、ミカンの果汁や皮に含まれている液は強い酸性であり、それが、売り物である染物や織物につくと変色の原因になるからであります。控え室なので、そこに商品はないのですが、手に汚れをつけたたまま、商品を触れば同じ事ですし、油性分も含まれているので、水で簡単に手を洗っただけでは、取れない事もある。というわけです。実際、油汚れ用に洗剤に柑橘系オイルが入っているものもあります。そんなわけで、皆様も着物を触る時にには、綺麗な手で触りましょう。長持ちの秘訣です。

ゴムダメ

呉服屋では基本的に輪ゴムというものを使いません。輪ゴムは便利なのですが、呉服まわりでは使ってはいけないものなのです。

それは何故かというと、ゴムに含まれている硫黄成分がいけない事をするからです。硫黄成分は酸性なのかアルカリ性なのかよくわかりませんが多分酸性です。その成分によって、金属を腐食させます。

着物と金属に関係があるかというと、大アリです。京友禅には金箔、銀箔、金糸の刺繍や金彩などが使われ、帯には、着物以上に金銀箔や金糸銀糸が使われております。この、金や銀が硫黄成分にヤラレテしまいます。

少しの時間ならば問題ありませんが、数ヶ月、数年となる影響は大です。箔使いの帯の上に輪ゴムを置いておけば、硫黄成分の蒸気(ガス)によって、輪ゴムの形に変色します。輪ゴムの乗っていた部分だけではなく、畳んだ帯の上から下までガスが通り、同じように輪ゴムの形の変色を引き起こします。

というわけで、輪ゴム他、ゴム製品にはご注意下さい。呉服業界の中でも、製造の現場から遠い問屋などの取引先では、そんな基本を知らない方がいらっしゃいます。反物に輪ゴムを巻いて伝票をとめているようなものを目撃すると、目がつり上がってしまいます。