
着物が仕立て上がってくると、部分的に躾(しつけ)糸というのが付いています。これは、着物の生地が仕立寸法にしっかりと固定されるように、生地を抑える役目のものでありますが、お客様へ渡る時点では、その機能的役割の多くは果たし終えています。もちろん、タンスの中で保管されている間にも、この躾糸は、ないよりもあったほうが、お着物のためには良いことなのですが、お召しになられる前には、はずすべきものなのです。
出来上がりの新品です。という意味合いも兼ねている象徴的な部分もあり、つけたままお客様へお渡しするのが通常です。細い絹糸ですので、少しの力で簡単に切れますし、数センチ間隔で飛び飛びに縫ってありますので、引っ張ればスルスルと抜けます。ですが、以外の面倒なもので、お納めした後に、すぐにお召しになられるお客様の場合、その躾糸をはずして納品されることをご希望になられる方も多いです。
お召しになられた後、お手入れでお預かりしたとき、この躾糸がついたままの場合が時々ございます。そんなときは、「オーマイガッ」とつぶやいてしまいます。美容室で着付けられたという場合は、美容室スタッフの意識の低さを呪います。商品タグがついたままの洋服よりはマシですが、最後のチェックをお忘れなく。気づいた方は、さりげなく教えてあげてください。

