色彩浴

先日、恒例の色無地の会では、定番の色無地に加えて、「和小物さくら」さんの帯揚、帯〆、草履、バッグなどを店内いっぱいに展示いたしました。ほぼ柄のない、無地やぼかしのアイテムばかりでしたが、それが、逆に物理的でない、まるで空気の様な、香りも温度もないけれど、ゆらゆらと、居心地の良い空間を作りだしていたみたいで、ここに、何時間でも入れるとか、ずーとここにいたい。といった感想をいただきました。まさに「色」に癒される色彩浴。

様々な色に囲まれていて、一品一品は全然違う世界観で完結していて、てんでバラバラな色なのだけれども、ある一つの共通項があり、それは、、「上質感」でした。質の良い素材に、質の良い染色、手仕事ならではの1/fゆらぎが醸し出す品格は、それぞれが主役級にもかかわらず、ケンカせずにお互いがお互いを引き立て合い、独特の空気を作りあげるという色彩コラボレーションで、その空間からもらえるパワーによって心豊かにシアワセになる

色ってすごいね。ということに改めて開眼した気分でした。そこから、新たなるインスピレーションが沸き、新しいコーディネートや新しい自分感が発見できたという方もいらっしゃったようです。色の組み合わせで別注するという体験を楽しまれておられた方も多かったのですが、私達呉服屋が普段行っている色出し、注文とは全く異なる色合わせをされる方も多く、新しい発見、目から鱗の体験をさせていただきました。色の組み合わせの可能性は無限です。

つむぎちゃん

先日、「11月15日は着物の日だから、1日着物で過ごすのだ」と朝に着付けをさせていただいた、殊勝なお客様がいらっしゃいました。ちょうど大島紬のナントカ120周年ということで大島紬をお召しになられましたが、「春大島・秋結城」というくらいで、少し冷えてきた今日この頃に、大島はちょっとヒンヤリしたというご感想でした。

ところで、「つむぎ」という名前が女の子の赤ちゃん名前ランキングで1位入りしましたが、紬の意味を知ってつけているのしょうか?それとも単に響きがいいからなのか?私が好きなSF漫画「シドニアの騎士」に出てくる宇宙生物のつむぎちゃんに国民的人気があるとは絶対ないと思うし、謎です。ちなみに人気ランキング入りしている名前には「のぶなが」とか「まさむね」といった4文字はないので、3文字や2文字が人気らしいです。

ところで、紬って着物ファンにとては、着てみたいと思うアイテムのようですが、色んな紬があるというと色々ありすぎて混乱される方もいらっしゃいます。混乱といえば、、例えば、大島紬という紬があるとすると、大島紬という紬の作り方があって、その作り方に従えば、どこで作っても大島紬になるという「誤解」もあります。えー、大島紬は奄美大島と鹿児島市と都城市で作られていて、決められた検査に合格したものを言いますが、それ以外の土地で作られたものは、、、バッタモンです。

大島紬など、経産省の指定する伝統工芸品指定された紬は多くなく、その土地に根ざした様々な紬や、一人の作家さんが生み出す紬まで、風合いも色使いも様々でそこが紬の面白さですが、バッタモンには注意しましょう。伝統工芸品指定の紬産地の中でも自分達のバッタモンを作っている不届き者もありやなしや。然るべき流通経路を辿った品こそが信用できる品といえるのであります。

話は外れましたが、一人で糸作りから糸染め、織りまで全部行う「作家」さんは、工房を他県に引っ越しても、バッタモンになるわけではありません。そんなわけで、紬の種類が多くて混乱しますが、それぞれに個性があるのが紬の良さですし、個性がある紬が生き残っているともいえます。浜松にも個性的な紬がありました、今も残っているものもありますが、温暖化の昨今には出番の少ない紬かもしれません。

紬は染め物と違って、織り物なので比較的素朴な感じになります。風合いも柔らかく温かみがあります。また、同じ糸を使っても織り手によって風合いが変わったものになります。そんなふうに優しさの中にも個性が豊かに育ってほしいと思って、紬ちゃんと名付け他のでしょうか?たぶん、、違うと思います、、。

写真は、織りの紬で文様を表現するには、織る前に糸を染め分けてから織るという高度な技術が必要ですよという一例で、右が拡大写真。

ガリヤバ

先日、京都に仕入れ出張した帰り、閉店間際のデパ地下で買った長い海苔巻き寿司をパクパクしながら、バビューンと浜松までノンストップで車を運転してきて、降りようとしたときに、膝の上に何か落ちていた。お寿司に添えられていたガリでした。細かなガリが数コ散らばっていました。いつもは手拭いを膝の上に広げて食べるのに、今回はうっかり、それをしなかったのですが、それが大きな失敗だったとは、その夜は気がつかなかったです。

この秋、初めて袷の着物を来たのですが、襦袢も羽織も単衣だったのに暑かったです。京都から浜松に近づくにつれ、蒲郡あたりから暑さが増したようにも思ました。てなわけで、袷は当分着ないよなー、と次の次の日の朝、着物を畳んでしまおうとしたら、、なんじゃあコリャああ〜。あの、ガリがのっかていた膝のあたりがシミになっていた。シミどころの騒ぎじゃなく、染料が抜けて白くなっているではありませんか!!

ガリは生姜の酢漬けです。酢の主成分である酢酸は強力なシミ抜き剤でもあるわけで、考えてみれば、当然といえば当然の結果で、ガリと気づいた時点で水を固くしぼったタオルで叩き、酢を洗い流すべきではありましたが、運転の後は、出張の片付けもそこそこに、ビールへまっしぐらだったので、全くそこまで頭が回りませんでした。それにしても、小さなガリにここまでのパワーがあったっとは驚きでした。急いで職人さんにお願いして、シミ抜きと、染色補正をしてもらって、ほぼほぼ、判らない位に戻してもらいましたが、ガリ含め、酢を含むものには注意です。最近、食べる機会が増えてきたミカンの酸も注意です。