絹は水に浸すと膨らんで、乾くときに微細な糸が絡まり、縮みやすくなりますので、ご自分でお手入れするには揮発油(ベンジンなど)でのシミ抜きとなります。
着物を着た後は、1日陰干しして、湿気を抜き、畳んで和紙の文庫に入れて、たんすにしまう。というのが、基本です。畳まずに吊るしたままにしておくと、生地が伸びて「袋」という状態になったりしますので、畳むのが基本です。
ただし、そのまま何ヶ月もタンスに入れっぱなしにして良いかというと、よくありません。
着用後は、肌に触れる衿や袖口の部分に皮脂や化粧品がついていて、これがシミの原因になるからです。次に着るまでに1ケ月(夏は半月)以上あるのでしたら、お手入れをする事をお勧め致します。
京濱では、お手入れをお預かりすると、お着物の状態を見てお手入れの項目を選択し、職人さんに作業を指示いたします。あるいは、お客様からココだけやってというご指示があれば、その様に致します。
また、パールトーン加工がされているものに関しては専用のメニューがございます。
基本丸洗いコース
着物全体をドライクリーニング液で洗います。衿と袖口を含めて全体が洗われますが、水性のシミや汗シミは基本的には落ちません。汗ばんだという場合には、汗抜き剤入りのクリーニングがございます。クリーニングドラムでの機械洗いですが、年代ものの品や刺繍や箔など繊細な加工がされているものに関しては手洗いで行います。
部分シミ抜き
基本の丸洗いを行う際にもシミ抜きのところはあらかじめ下洗いをしますが、丸洗いで落ちなかった部分は別途シミ抜きを行います。シミの種類、大きさ、古さによって工賃が変わります。お預かりの際におおよそのお見積もりもできます。
汗抜き
汗ジミは背中や脇などが多いです。見た目にわかるものは必須でお勧めしますが、見た目にはわからないものでも、初夏から初秋にかけて御着用になられたものにはお勧めしています。また、冬でも、汗をかいたというご自覚があれば、リクエストしてほしい項目です。汗ジミになって変色している場合は別途しみ抜き代がかかります
ですので、数年間何度も着たもの、どなたからの頂き物やお借りしたもの、今後数年以上は着ないかもしれないものなどにもお勧めしています。
カビクリーニング
長い間しまってあって、カビ臭い場合、あるいは目に見えてカビがある場合にお勧めします。丸洗いコースと同じで着物全体をドライクリーニング液で洗いますが、この中にカビ洗い剤が入っています。これで落ちる場合もございますが、カビが染料を侵している場合は別途、生地の色直しを行います。
虫干し
着ていないが、たんすに入れっぱなしのものは着物を広げて着物ハンガーにかけ陰干しします。若干カビ臭や湿気臭さのあるものは時間をかければなくなります。
プレス
着物専用のプレス機でシワ伸ばししますが、主に帯について行います。
パールトーン加工
水性の汚れが付きにくくなる撥水加工です。防カビ効果もございます。お手入れ月間中はお安くなります。
抗菌・消臭加工
皮脂・汗・加齢臭・ペット臭の元となるアンモニアを分解し、動物の皮膚やホコリなどにある黄色ブドウ球菌にたいする抗菌作用をのある加工を施します。丸洗いのオプションとして承ります。
各お値段は着物の種類やシミの種類によって異なりますので、その都度お見積もりさせていただきます。
パールトーン加工済の着物・襦袢・帯について
パールトーン加工済の品は京都のパールトーン社に送り専用のお手入れをします。通常のクリーニング店でクリーニングするとパールトーン加工の効力が失われる場合がございます
お手入れ月間の期間はパールトーン加工自体もお安くなりますのでご利用ください
基本アフターケア
アフターサービス付きのパールトーン加工はベンジンで取れる基本のシミ抜きが20年間無料となっています。この無料しみ抜きを行い、着用シワをとり、殺菌効果のあるプレス処理をしてお返しします。基本のシミ抜きでとれないシミについては別料金となります。パールトーン加工済みの着物の、季節の終わりのお手入れとしてお勧めしています。
丸洗いアフターケア
パールトーン加工済のものを、通常の丸洗い(ドライクリーニング)を行うとパールトーン加工の効力がなくなってしまいますので、専用のクリーニング液で着物全体を洗い、パールトーン加工の効力チェックを行なって弱まっている場合は再生処理をします。そして殺菌効果のプレス処理を行います。何回か基本アフターケアをされるくらいお召しになったお着物についてお勧めしています。
汗ぬき
基本アフターケア、または丸洗いアフターケアのオプションとして行います。水で洗い、汗成分を洗い流します。ただし、汗ジミになっている場合は別途しみ抜き代がかかります
ご自分でできる簡単汗抜き(オススメ)と、逆に恐ろしいお話
パールトーン加工済の着物や襦袢は水をはじく(撥水性)効力がございます。そのため水を垂らしても、すぐには浸み込まず、玉になり転がって落ちます。コーヒーや醤油をこぼしても同様ですが、細かな繊維の間にはコーヒーや醤油が入ってしまうこともあります、そんなときは、そこに水をかけてコーヒー醤油を洗いだせます。(パールトーン加工ならではの技ですので普通の着物ではやらないで下さい)
これと同じ原理で、汗の成分も、しばらくの間は繊維の表面に留まっていますので、脇や背中、お腹周り、肩から二の腕などの汗になったところに霧吹きで水をたっぷりかけて、乾いたタオルで叩いて水分を取り除けば、汗抜きを行うことができます。この後、残った水分を飛ばすために1日陰干ししてください。
逆に恐ろしいお話とは、パールトーン加工のデメリットでもありますが、汗をそのままにしておくと、汗成分(ミネラルなど)が繊維の中に移動していきます。そうなってしまうと、汗成分を洗い流そうとしても、パールトーン加工の撥水性が壁となり洗浄済が汗成分にまで届かない状態になってしまいます。そうなると生地の変色が起き、この変色を直すが困難になってしまいます。ご注意ください。汗をかいたと思ったら簡単汗抜きを是非行なって下さい。面倒なら京濱へ持ってきてください。
3、綿・麻の着物・襦袢・帯
綿は絹と違って水洗いができますが、綿さつまや袷ものなど、繊細なものはドライクリーニングをおすすめします。
麻の着物や襦袢は基本的には水洗いができます。ただし、弊社でお手入れを承る場合はドライクリーニングとなります。
麻の帯に関しても、ドライクリーニングになります
水丸洗い
基本的には浴衣の場合、水での丸洗いをさせていただきます。丸洗いで落ちないシミについては別料金となります。
汗抜き
特に帯について行います。水を含んだ布で叩いて汗の成分を洗います。
それぞれのお手入れの工賃は店頭にて一覧表となっております。